“アイドルを越え,もはやアーティストの公演…K-POPの未来を見た”

2013-04-03 01:08 am

[ハンギョレ]G-DRAGONの公演を見たイ・ドンヨン教授

G-DRAGONは3月30日・31日にソウルオリンピック体操競技場でソロワールドツアー‘ONE OF A KIND’の初公演を行った.長い間,韓国のアイドル音楽について研究してきた韓国芸術総合学校のイ・ドンヨン教授が今回の公演を見て自身が感じたこと,そして今後のK-POPの方向性について意見を送ってくれた.

ストーリーテリング・舞台・小物・衣装など
外国のスターに負けないほど
自作曲を通じてクリエイティブな面も披露

YGはコンテンツ中心の公演…今後の展望も明るい
SMのアイドル勢ぞろいの舞台には限界も

ソウルで行われたG-DRAGONのワールドツアー‘ONE OF A KIND’の開幕公演は二日間,2万6千人の観客を動員して成功裏に終わった.4年ぶりに開催する単独ツアー初日から良いスタートを切った彼は,いつの間にか誰もが愛するアイドルから孤独なアーティストになり観客の前に立っていた.

今回のワールドツアーは彼の音楽人生において大きな意味を持つ.ワールドツアーを一人でやりこなすために彼が公演に対して持つべき態度,すべからく甘受すべき精神的・肉体的圧迫感,そして補うべき音楽の完成度は彼が自ら解決しなければならない課題である.G-DRAGONは今回の公演でアーティストとして自身の能力を遺憾なく見せねばならず,‘嬉しい悲鳴’を上げている状況だろう.

今回の公演は,海外スターの公演と比べても決して劣らないコンテンツと規模を兼ね備えたものだ.G-DRAGONの音楽面での変身と成長ぶりを楽しめるよう三つに分けたストーリーテリング,ポップアートの要素を取り入れた舞台装置,昔の‘ソルトレイン(米国の黒人音楽専門番組)’を思い浮かばせるような垂直に分けた舞台,選曲に合わせた個性溢れる衣装と小物,モザイクスクリーン投射方式による立体感あふれるな映像は‘見る’公演の楽しさをたっぷりと味わえるように仕立てられた.

また,BIGBANGワールドツアーの時から共に作業をしてきた故マイケル・ジャクソンの公演スタッフ出身で,演出家兼振付師のトラヴィス・ペイン(Travis Payne)とステーシー・ウォーカー(Stacy Walker)のダンスパフォーマンス,実力ある外国セッションのライブ演奏などは世界的ポップスターレディー・ガガの‘ザ・モンスター・ボール・ツアー’で感じたソロ歌手のための超大型公演方式の韓国版のように思えた.そして何より,オープニング曲の‘ミチGO’から‘Heartbreaker’‘結局’,そして‘CRAYON’に至るまで自ら作り上げたヒット曲で2時間以上も続く公演に耐えられるという点は,いろんなグループが一斉に出てくる公演では感じることのできない,G-DRAGONならではの魅力を一層輝かせた.

クリエイティブな能力と公演のコンテンツ.この二つのキーワードが今回のG-DRAGONの公演がK-POPの現在と未来に投げかけているテーマではないだろうか.もちろん今回の公演に費やされた時間と人材,財源の規模はすべてのK-POP歌手が享受できるものではない.しかし,K-POPのグローバル市場進出において唯一の選択肢となるのは,競争力のある公演のコンテンツを作ることだというのは明白な事実である.つまり,放送やイベント出演,そしてYouTubeを通じた外国へのマーケティング活動はK-POPの持続可能な発展のための根本的な方法にはなり得ないのだ.

2009年に始まり,2年間続いたレディー•ガガの‘ザ・モンスター•ボール•ツアー’は世界で201回にわたり行われ1500億ウォンの収入を上げた.そして,昨年開催されたBIGBANGのワールドツアーは世界12カ国で80万人を動員し800億ウォンの売り上げを上げた.このように,競争力のあるコンテンツを備えた公演は多大なの製作費が掛かるものの,長期的に見ればより多くの収益を上げることができ,特にアーティストの活力を延長させることにも大きく役立つ.このような点から見ると,企業ブランドを重視するSMエンターテイメントの‘SMタウン’のような,大勢の歌手が一斉に出演する公演方式よりは,アーティスト中心の充実したコンテンツのある公演を重視するYGエンターテイメントの製作方法がK-POPの海外市場進出においての良き代案なのではないだろうか.

今回の公演で唯一心残りだった音響問題は,大規模な公演の充実化を図るために解決すべき課題である.大型体育館での公演だったため演奏・ボーカル・コーラス・音響効果が安定的にバランスを取れていなかったようだ.K-POP公演のコンテンツが質的に発展するためには,韓国内にも専門的かつ大型の公演場の建設が急務である.G-DRAGONのソロワールドツアー初公演は本人とK-POPの未来について色々と考えさせられる舞台だった.