「WINNERは決して速くない…これまでも、これからも」(インタビュー)
[Dispatch=나지연기자] ウサギとカメがいる。ウサギは速く、カメは遅かった。ウサギはそんなカメに鈍いとからかった。するとカメは、かけっこの勝負を挑んだ。ウサギは速く走り、カメが遅れているのを見ては居眠りを始めた。カメは着実に進み、居眠りをしているウサギに勝った。
「イソップ寓話」ウサギとカメのあらすじだ。「努力するものが勝利を得る」という教訓を伝えている。グループWINNERはどっちだろうか。皆はウサギだと思っている。YGというバックグラウンド、オーディションで得た認知度。早く成功するための要素を全て揃えていると評価される。
結果的には、そうだ。WINNERはデビューアルバム『2014 S/S』公開と同時に『empty』で音楽配信チャート1位を総なめにした。収録曲でチャート独占にも成功した。8月21日に放送された「M COUNTDOWN」と、「ミュージックバンク」では1位のトロフィーを手にした。音楽番組でデビューしてからたったの5日でこれほどの成果を挙げた。
こんな記録を見るとWINNERはウサギ、だと思う。但し、居眠りをせず、油断をしなかったウサギだ。しかし、実際のWINNERの話は異なった。彼らが自ら語る成功ストーリーはどことなく「カメ」の姿に似ていた。そして、彼らは今もゆっくりと歩いている。
「YGのスタイルがそうなんです。絶壁まで押して、押して、さらに押し続けます。まるでトラが子を育てるように。そうして絶壁に辿り着くと、励まして、また押して…。それが成長できる原動力になったと思います。WINNERを作り上げた力ですね」
WINNERは、どうやって輝き始めたのだろうか。彼らの過去、現在、未来について聞いてみた。
Part1.過去
WINNERほど有名な練習生がまたいただろうか。オーディション番組のスターが2人もいる。「スーパースターK」のカン・スンユンと「K-POPスター」のイ・スンフン。中でもカン・スンユンは、2011年に「ハイキック:短足の逆襲」に出演、2013年にはソロとしてデビューした。
「でも、どっちつかずでした。顔は知られているものの、戻るとまた練習生で。『ハイキック』に出た時も、ソロの時も、ぼくはただの練習生でした。もちろん、他の練習生よりは認められる時もありましたけど。でもそうなると、また他の子たちに悪かったり。心的に辛かったですね」(スンユン)
しかしチーム結成の過程は華麗だった。「WIN」というリアリティ番組を通じてデビューが決まった。当時「WIN」ではTEAM AとTEAM Bに分けて競争をした。WINNERは、そのうちTEAM A。デビューもしていない新人がリアリティ番組を撮るということ自体が特恵だった。TEMA Aはそうして注目を集め、勝利し、「WINNER」となった。
「数年間、苦労してきた子たちと競争するというのが苦でした。TEAM Bは比較的幼いじゃないですか。僕たちより幼い子たちより遅れているという気持ち、辛かったですね。1回目のバトルで負けた時の挫折感…。負けたら行く場がなかったので。長い練習期間よりも大変でした」(スンフン)
Part2.デビュー
「TEAM A」から「WINNER」になった。皆の期待が集まる。しかし、デビューは何度も先送りに。ファンが待つ時間も長くなった。WINNERももどかしい気持ちは同じだっただろう。「WIN」が終わり、デビューするまでの時間は10ヵ月。しかし忍耐の時間は、甘い実となって戻ってきた。
「延期したと言いたいですね。ファンを思うと、申し訳なかったんですけど。早くデビューしたいという気持ちもありました。しかし自ら満足のいくものではなかったので。僕たちに合う服を見つける過程だったと思います。外国の曲、YGプロデューサーの曲もレコーディングしてみたんですけど、WINNERのカラーではありませんでした。直接、そのカラーを見つけていきました」(スンフン)
WINNERのカラーを見つける過程は、簡単ではなかった。曲を作ると「棄却」されたのが数十回。これは大衆性がなくて、それは似合わなくて、またこれはYGらしいという理由から、捨てられた。WINNERは作り続け、直しながら、自分たちのカラーを見つけた。そうして1stフルアルバムが誕生したのだ。
「ありきたりの音楽はやりたくありませんでした。それとYG先輩とはまた異なるカラーにしたかったです。で、その答えは『ジャンルを区分せず』でした。その代わり、メッセージが含まれている曲に仕上げたいと思いました。『empty』、『Color Ring』もそうです。メンバーと一緒に一つ一つ話し合いながらやり遂げました」(ミンホ)
Part3.現在
世に出た。反応は熱かった。デビュー音源は、発売と同時に1位を総なめにした。『empty』でチャートの首位を占めたのである。新人としては異例のチャート独占も果たした。音楽番組には、出演したその日、1位に輝いた。デビューした新人の快進撃である。
「予想も出来ませんでした。新人なので。嬉しいです。実は、デビューアルバムがフルアルバムになると思いませんでした。『もっと良い曲を作ろう』と思いながら作業しただけなのに…。僕たちが作った曲でフルアルバムを出したということにやりがいを感じました」(ジヌ)
WINNERが自ら長所だと思うのは、個性だ。メンバーそれぞれボイスカラーが明確だということ。テヒョンの甘い声、ジヌの魅力的な仮声、スンユンのパワフルなボーカル、スンフンのメロディカルなラップ、ミンホの低いボイスが調和を成すとのこと。彼らはだから曲を聴いても、だらだらしたような感じが少ないと話している。
「テヒョンは声が甘いです。でも『Color Ring』『Different』ではパワーも証明しました。ジヌは『empty』のサビの部分で化声で入ってくるんですけど、とても魅力的です。スンフンはメロディカルなラップ、ミンホはアンダーとオーバーの境目をよくこなしているという点。スンユンはパワフルなボイスが良いですね」(WINNER)
Part4.未来
それではWINNERが夢見る未来はどんな姿だろう。これまでもそうだったように、黙々と、そしてゆっくりと、自分たちの道を進んでいくというのが目標だ。音楽においても常に新しいことに挑戦し、その領域を広めることが究極的な目標だという。枠にはまらないこと。それがまさに「WINNER」だそうだ。
「ダンス曲やヒップホップにも挑戦することもできます。全てのジャンルにオープンマインドを持っているのが『WINNER』です。トレンドに流されないように。『フックソング』が流行っているとしてもフックソングは作らないつもりです。今もそうですが、これからどんな分野であれ僕たちならではの道を進みたいです」(テヒョン)
一番聞きたい言葉は何だろう。スターではなく歌手。歌手よりはアーティストだった。真実さが伝わるミュージシャン。「WINNER」を思い浮かべたとき、人々が真実さを感じたらそれで満足できるという。結局、彼らの目標は「第2のBIGBANG」「人気アイドル」ではなかった。「WINNER」の音楽そのものに、彼らの目標があったのだ。
「認められたいです。正直、色眼鏡で見る人もいます。真実さのあるアーティストだという言葉が聞きたいですね。メンバー皆同じだと思います。「WINNER」を思い浮かべると『音楽的にも、パフォーマンス的にも、いいな。ただのアイドルではなく、本物だな』と言われたいです」(WINNER)
2014. 8. 23.